tackman's ゲーミングブログ

七色に光るわけではない(多分)。ボードゲーム関連の話題が多めになるかも

これまでやってきたボードゲーム

この記事はどもがよ Advent Calendar19日目だったものからの再構成版です。これまでにやり込んだと言えるボードゲームのことを書きました。

カタン

雛鳥私が親だと思ったゲーム。「ボードゲームの典型はこれ」という刷り込みがある。完成度の高いゲームとしてロングセラーの定番でありつつ、現代ボドゲには盛り込まれない傾向がある「プレイヤー間トレード要素」と「直接攻撃」があったりするのは特徴。これらはプレイ時間を長くしたり、潜在的にプレイ体験を悪化させがちなので近年のゲームデザイナーは避ける傾向があるものの、ハマると非常に楽しいゲームが出来るので個人的には挑戦する人を常に応援するものです。

ドミニオン

やり込んだのは「暗黒時代」が出た前後で、それ以降の内容はそこまで詳しくないかも。プラコロ場で100金出すようなプレイングが好き。デッキ構築の元祖であり至高。デッキ構築メカニクスを取り入れたフォロワーは多いけれど、このゲームの真のキモだった終了条件(属州枯れの他に3山切れでの終了)を正しく取り入れられたゲームはほとんどなかったように思います。3山切れルールのないドミニオンが割とクソゲー化するのは多少やり込んだ人には自明なのですが、まあみんなそこまで同じゲームやり込まないしね。圧倒的に高い完成度を誇りつつ、後手番が露骨に不利になる点に何の配慮もない点は昔のゲームでもあります。そういえばアタックカードが対象を選ばず原則他プレイヤー全員になるのは、カタンなどで叩く相手を選んでいた頃からするとモダンな感じだったなと思い出しました。 3~4人のマルチプレイとタイマンでは割と別ゲーで、熱帯だとタイマン戦が合ってるゲーム。タイマンだとほとんど紛れが出ないレベルでプレイング差が出るので、味方ガチャなどがない分ソロで上達するにはやりやすかったりします。

Civilization the Board Game

Sid's Civは何度もボードゲーム化されているけれど、これは2013年に発売されたやつ。多くのCiverがCivのブランドに釣られて手を出しボードゲームをやるきっかけになったのだけど、良くも悪くも現代のボードゲームとは思えないアレさに満ちていました。これでボドゲデビューするのは初体験で女装コス尻穴産卵プレイするレベルだと思います。 「プレイ時間は多少慣れた人同士で4時間」「拡大再生産のため構築がシビアで、序盤にミスると4時間ただ座るだけになる」「”交易フェーズでプレイヤー同士は拘束力のない約束をしても良い” とルールブックに書かている、およそ現代では考えられないフリースタイル交渉アリのルール」「直接征服が可能な軍事があり、踏みにじられると踏みにじられ続ける」「ルールが複雑でしばしば解釈バトルが発生し、内輪で『シブビジる』(ルール解釈に相違があったので議論と裁定を行うの意)という言葉が生まれた」「誰を攻撃するかの任意性が高く、外交的に孤立すると一生ボコられ続ける」などの要素の列挙で雰囲気を感じてください。それでもこれを毎日平日夜中にプレイ(???)する狂人どもがよが発生する程度には魅力と中毒性があったのは間違いなく、正常なボードゲームをやっても物足りない身体にされてしまう唯一無二の存在でした。Sid's Civらしく相互に直接関係しない勝利条件が複数(宇宙/文化/経済/軍事)があり、これが構築と勝ち筋の多様性をもたらすところ大というのが私見です。ちなみに毎日これをプレイしていた狂人どもがよで同人攻略本を出したりもした。 私の育ての親だと思っているゲームなので、自分がゲームデザインをする時にこのゲームのどの要素を再構成できているかを割と考えてしまいがち。

Terraforming Mars

2010年代後半で最高のボードゲームと言えばこれだと思います(ただし拡張は金星~Preludeまで)。前述のCivBGは人間には勧めづらいものでしたが、こちらは1ゲーム2時間程度にまとまる手軽さ・整備されたルール・トレードと直接攻撃要素抜きと非常に良いバランスになっています。ゲーム終了条件が3つのグローバルパラメーター(酸素濃度/気温/海の造成)からなり、しかも各グローバルパラメーター同士で相互関係がある(例えば温度が一定以上になると海が増えたり酸素濃度が上がったりする)のはゲームの収束性とテンポの演出に良く出来ていたなと思います。みんなドハマリしたのでB5で200ページ級の本が出た。「テラフォーミングマーズは奪い合いのゲームである」は名言だと思う。 大ヒット作だから内容はみんな知ってると思うし、万が一やったことがない人がいたらプレイしましょう。

Wingspan

ファミリー向けっぽいガワの割にはしっかりしたゲーム。プレイ時間は1時間ちょっとくらい?世間的にはソリティア寄り扱いされてそうだけど、これもしっかり奪い合いのゲームだという結論 に至りました。 とは言えテラフォーミングマーズに比べると、インタラクションが薄いのは事実。テラフォーミングマーズには多少あった直接攻撃カードが一切入っておらず、ゲーム終了条件も固定ラウンド数をこなすというもの。こういった特徴は良く言って複雑性の抑制、悪く言えば薄味な仕上がり要因になっています。 モチーフと合わせてカジュアル勢におすすめして事故がない範囲での複雑性限界チャレンジ、その上限を見せてくれるゲームでした。

Ark Nova

ファミリー向けっぽいガワのくせにとんでもないハードコアゲーム。かわいい動物さんたちを集めて最高の動物園を作ろう!という建前のゲームで、毒蛇で対戦相手を縛る攻撃カードがあったり特別保護プログラムの写真が動物の交尾写真だったり(そうはならんやろ)。このあたりで制作陣がどういう連中かは察せると思います。そういえばテラフォーミングマーズでも、初期のペットのカードはウサギの交尾写真でした。検閲されたのか後のバージョンで当たり障りのない写真に差し替えられていましたが…動物の交尾写真があるゲームは名作の法則。 「Wingspanは奪い合いのゲームである」と言ってもそれはプレイヤーの問題とする余地はあるけれど、Ark Novaはゲームデザイナーがはっきりと奪い合いのゲームになるように作っている、そう断定して良いデザインになっています。Ark Novaは(アグリコラのような)ワーカープレイスメントと(テラフォーミングマーズのような)拡大再生産カードゲームとしての面を併せ持っているくせに、ラウンド終了がプレイヤー間共通のグローバルパラメーターでコントロールされています。つまり他プレイヤーがワーカーや拡大のリソースを使い切る前にアグロをかけてラウンドを強制終了させる余地があり、資源を使い切れなかったプレイヤーは絶大なディスアドバンテージを背負うことになるデザインなのです。やっていることは事実上の資源の強奪で、殺すと言う代わりに中立化すると言う程度の違いしかない。10年代後半のボードゲームは(テラフォーミングマーズにしろウイングスパンにしろ)人間同士の殺伐要素を削って、プレイヤーのストレスを軽減するという潮流があったように思います。それではやっぱり物足りないという反動なのか、Ark Novaは人を絞る喜びを得られる方向に振ってきている。次の5年くらいは反動がトレンドになるのかも、と思うことになった作品でした。