tackman's ゲーミングブログ

七色に光るわけではない(多分)。ボードゲーム関連の話題が多めになるかも

SPIEL Essen 前後の欧州移動プラン

この記事は「どもがよAdvent Calendar2023」12/6分です。前日は柳雪さんの「今年のおすすめSteamゲーム」でした。ビリビリが大航海時代の精神的続編出していたのは恥ずかしながら知らなかった、デキ云々ではなく現代文化史必修かも…

本文

エッセン市はドイツ北西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)にあります。なじみのない人には「どこ?」となる地名ですが、実は現代西欧及び欧州連合の中心地域に位置しており、陸路の移動で結構色々なところに行けたりします。

加えて、SPIEL Essenの行われる時期は欧州連合中核地域でイベントが多い時期でもあります。例えばパリで競馬の凱旋門賞は例年SPIELの1つ前の週に行われますし、ファッションショーのパリコレもこの時期にやっています。ビール祭りで有名なミュンヘンオクトーバーフェストもSPIELの直前です。

どうせエッセンまで行くのなら、もう少し滞在期間を追加するだけでこれらのイベントに参加もできてしまいます。一回の渡航で片道20時間前後はかかってしまうので、欧州に行くからには色々楽しんだ方がお得で満足度も高くなります。飛行機代の実質タダ化も進むので、ここではSPIELに合わせた鉄道利用プランを紹介していきます。

ノルトライン=ヴェストファーレン周辺地図。赤=Thalys区間、青=主要鉄路

ドイツ鉄道(DB)心構え

具体的なルートの話に入る前に、ドイツ鉄道を使うにあたっての心構えの話はせざるを得ないのでここに置きます。

  1. DBは遅れるものと心得よ
  2. 運休は日常と心得よ
  3. 鉄道ではなく、飛行機や長距離バスのように扱うべし

ドイツ鉄道の定時運行性に関しては現地民も旅行者も口を揃えて悪口を言うレベルで、イタリア鉄道に「お前らのせいでうちのダイヤが乱れる」と言われるほどです。ドイツ=勤勉のイメージから日本同様に厳格なダイヤグラム運行をしてそうな印象になりますが、こと鉄道に関しては全くアテになりません。

2023年のシュピールエッセン参加時にも、DBが何の前触れもなくDuisburg-Essenという東西の大動脈にあたる路線を運休したため大変なことになったりしました。そのあたりの顛末はゲームマーケット2023秋の新刊で記事になっているので、気になった方はぜひ見てね!(ダイマ

gamemarket.jp

ここまでダメなDBをなぜ使うかと言えば、

  • 安い
  • (動けば)速い

という特長は代えがたいからです。上手くやれば「特急料金込で」日本の在来線「乗車券のみ」運賃の半額程度で乗れて、それでいて日本の在来線特急~新幹線並のスピードで移動できます。日本だと東京~名古屋間は新幹線1.5時間と言われても片道1万円以上になって心理的に移動しづらさはありますが、DBでは同じくらいの距離をICE(都市間急行、新幹線だとひかり号くらいの感覚)で2~3000円だったりします。多少の運休遅延があっても、「まあJRの5分の1だしな…」と思えば許せる気がしてくるので鉄道の活用はおすすめです。

DBで一般的なICE車両

コース1:ルールからネーデルラント

エッセン市はドイツ連邦共和国の中でも、北西の端に近い位置にあります。ドイツ連邦の北西と言えばオランダ、ベルギーなどの低地諸国があり、アムステルダムまで直線距離で200kmもありません。実はベルリンやミュンヘンに比べても、電車や長距離バスでふらっと行けてしまう距離です。アムステルダム自体観光にはもってこいの街な上に、AMSアムステルダムスキポール空港は欧州屈指のハブ空港でもあります。ここから帰国も第三国へのフライトも自由に行ける場所です。

所要時間については、ICEを使えば3~4時間程度でエッセンからアムステルダムに着いてしまいます。RE(地域急行、区間快速的なもの)でのんびり車窓を眺めながら移動しても楽しいです。

なおせっかくの鉄道旅ですが、オランダ国内発着便はなぜか異様に窓が汚れていてすりガラス状態のことが多いです。車内の清掃もDB運行便に比べて行き届いていないことが多く、特にアルンヘム-アムステルダム間のICEに乗った時は液体と謎の粉が散乱していてシートに座るのを躊躇するレベルでした。前述の格安価格で乗せてもらえるので、まあこんなもんかと納得するしかありませんでしたが…

近未来的な雰囲気のArnhem Centraal駅

コース2a:パリ~アルザスライン川下り

パリで凱旋門賞があるのは例年10月の第一日曜日、シュピールエッセンは10月第二の週末です。凱旋門賞を観戦してからシュピールエッセン開始までの間を、アルザスを回りながら過ごすルートはこちら。

パリ-ストラスブール間はフランスの高速鉄道Thalysが走っており、値段も所要時間も新幹線の感覚です。その辺のICEと違って全席指定が基本なので、事前予約は必須。お高い&フランスの国威鉄道だけあってクオリティは高いです。赤基調の上品な内装は良いもので、これを見るためにThalysに乗ってみるのもいいと思います。

先にドイツ鉄道の話を書きましたが、Thalysに関しては高くて速い、ほぼ新幹線と同じような使い勝手の特急便です。パリ~ブリュッセル間だと途中停車駅ゼロの便が多く、全席指定なのもあいまって正しくのぞみという感じ。

Thalysは内装も赤基調でおしゃれ。フランスを感じます

ついでの補足をすると、北西ヨーロッパの鉄路はブリュッセルがハブとして重要駅になっています。仏独間の主要線はブリュッセルを経由し(オランダを通らず)ドイツ・NRW方面に通じます。アムステルダム方面はブリュッセルで分岐する支線的な要素が強いです。ロンドン方面へのユーロスター号もブリュッセルが起点で、鉄路だととりあえずブリュッセル経由になることは多いです。

ストラスブール(仏)は欧州議会などEU関連の政庁があるので、国際機関オタクにおすすめ。またストラスブールシュトゥットガルト(独)近辺のアルザス地方は「ご注文はうさぎですか?」のロケ地にもなっており、きららオタクの聖地でもあります。

シュトゥットガルトから先はDBでゆっっっくりライン沿いに下り、フランクフルト~ケルン~デュッセルドルフというルートでエッセンまでたどり着けます。Thalys区間に比べると同じ距離を行くのにびっくりするほど所要時間が違いますが、旅行であればのんびり車窓を楽しめばいいと思います。

フランクフルト~ケルンの間には、世界遺産になっているライン渓谷中流上部・コブレンツの古城付近を鉄道で通る区間があります。幹線でありながら観光鉄道を味わえるのでその点でもおすすめ。こちらの詳細は、春に出した既刊「Essen Spiel Guidebook 2023」で紹介されています(ダイマ)。

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コース2b:パリ〜ミュンヘンライン川下り

パリで凱旋門賞があるのは例年10月の第一日曜日、ミュンヘンオクトーバーフェスト(ビール祭り)が行われるのも同週、シュピールエッセンは10月第二の週末です。という日程を踏まえて、凱旋門賞オクトーバーフェストからシュピールエッセンへハシゴをする場合のルートはこちら。

大枠はストラスブールシュトゥットガルト経由からライン川下りと同じで、シュトゥットガルトで北に向かわずそのまま東に進み続けてミュンヘンへ。オクトーバーフェストの最終日が例年凱旋門賞の直後くらいになるはずなので、ここで酔い潰れてからエッセンへ向かいましょう。

ドイツ鉄道の一般車両

コース3:パリ〜ブリュッセル〜アーヘン~NRW

フランス製高速鉄道Thalysは、実はブリュッセルを経由してエッセンまで来る便があります(地図上で赤い線を引いている部分がThalys区間、青い線が通常のICEのみ)。なんだかんだThalysは高速鉄道に恥じない性能なので、素直にこのルートに沿ってエッセンまで行く場合はこちら。

紹介順は後の方になっていますが、パリからエッセンまで鉄路移動をするなら一番素直なルートはこれになります。

単なる最短ルートというだけでもなく、アーヘンは世界遺産の大聖堂がある古都です。ここ自体が目的になるくらいの観光地でもあるので、道すがらに寄るには十分以上の魅力があります。

Extra: イスタンブールに行く

エッセン周辺の密度の高さを活かして陸路移動をしようという主旨から外れますが、渡欧ついでに実質タダでイスタンブール訪問をするというプランもあります。これは「ドイツ→日本への航空券代金≒ドイツ→イスタンブールへの航空券+イスタンブール→日本への航空券代金」という状況を利用して、ドイツから直帰せずにイスタンブール滞在を挟むというものです。

本稿は2023年5月頃から10月頃までの状況をもとに執筆しています。航空券の状況は日々変わるので、常にイスタンブール経由が実質タダになるとは言えません。ただ、「ドイツからの直帰ではなく中東など他地域を挟んで同じ飛行機代で色んなところに行く」というコンセプトは将来も有効だと思われます。

ドイツから日本へのフライトルート。ドバイ経由だと6h+12hのフライトで、イスタンブール経由だと3h+8h+6hのフライト。中央アジア航路の方が大圏航路に近い

実際やったルート

このルートはフライトに限ってもメリットがありました。一回の最長フライト時間が約8時間(IST~UBN)に抑えられるのは大きいです。ドイツから日本へ直帰するルートだと、通常トランジットを挟んで長い方のフライトが12~14時間程度にはなります。フライトによるストレスはフライト時間に対して非線形に伸びるので、12時間のフライトより8時間+4時間のフライトの方が楽になることは多いです。加えて、MIATはイスタンブールウランバートル間を大圏航路に近いルートで飛行できるため、総フライト時間も短く抑えられています。ロシア上空が使えなくなってしまった現代にあって、これはかなり大きなメリットです。

(多分)アララト山。運が良いとこれが見れるのはイスタンブールウランバートルルートのいいところかも

イスタンブール自体の魅力

そこまでしてイスタンブールに行ってどうするの?と思う方もいるかもしれませんが、イスタンブールはすごくいい場所です。これに関しては別途記事を上げる予定です(予告)。

ねこです。なれなれしかったです

本記事で書かなかったことと予告

さらっと流してきましたが、私は今年もシュピールエッセンに参加してきました。そして前後でパリで凱旋門賞を見て、イスタンブールに寄って帰国するというオタク旅程をやっています。シュピールも含めたレポ記事を書くのを宿題化してしまっているので、これらを年内に記事にしたいと思います。

12/7の記事は三澤屋ふぉるごれさんが、アラサーからのデュエリストデビューの記事を上げてくれるようです。乞うご期待。